第69回 NHK杯テレビ将棋トーナメント 高崎六段 × 里見香奈女流五冠戦
2019年7月21日に放送された、NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦第15局・高崎六段 × 里見香奈女流五冠戦を観ました
里見さんは8年ぶりの本戦出場です
「里見香奈女流四冠は女流王位に返り咲き 女流五冠となりました」とテロップ
放送では女流四冠のままだったので、6月の女流王位戦中に収録された様です
対局前インタビュー
Q里見女流五冠の印象はいかがですか?
高崎六段「鋭い攻め将棋で男性棋士と遜色ない実力者だと思っております」
Q今期NHK杯選の抱負をお願いします
高崎「久々の本戦出場ですので良い将棋を指して結果が出せたらなと思っています」
Q本局どんな所に注目して欲しいですか?
里見女流「自分の持ち味を出せるように頑張りたいと思っておりますので、そういう所に注目して頂ければと思います」
Q今期NHK杯選の抱負をお願いします
里見「精一杯頑張りますので・・そうですね、一つ勝てる事を目標に頑張ります」
緊張してる感じです(°▽°)
戦型は相振り飛車
▲先手 髙﨑一生六段
△後手 里見香奈女流五冠
(持ち時間各10分 使い切ると一手30秒未満 ただし秒読みに入ってから1分単位で10回の考慮時間がある)
初手▲7八飛車 先手は三間飛車
2手目△54歩 後手は中飛車かな?と思いましたが飛車は動かさず
後手から角交換したあと先手は向かい飛車になり
後手も向かい飛車に振りました
ここから数手高崎六段の指し方がすごかったです
バシッと駒が割れそう
(二人は初手合いですが一昨年の女流王将戦で共演?していましたね。高崎六段は冷静で解りやすい解説をされていました)
(37手目)▲7五銀 先手は銀を繰り出して8筋を狙います
強さの秘訣は毎回ちょっとずつ工夫してること
羽生「女流名人戦も10連覇中ですよね。長きに渡ってずっと活躍されてるという所ですよね。中々続けてくのは大変なことだと思うんですけど、
里見さんの将棋見てて、なんかやっぱり毎回ちょっとずつ工夫してるなあと言う印象があって、その辺りがですね、ずっとこの強さを保っている秘訣の一つじゃないかなって印象を持ちますね」
羽生「今例えば△5二金と上がったのも、普通は△6二金なんですけど(囲いが)、8筋から攻めてくるのは見えてるんで、こっちに上がっても△6二玉から△5一玉と逃げて行こうって言う逃走ルートを。攻めさせてですね、逃げるって言うそういうプランだと思いますね~」
先手が踏み込む
後手が△5二金とした所で先手はけっこう考えています
(43手目)▲9五同香
羽生「これは本局のなんていうか・・決めるぐらいの手ですね」
中村「高崎六段が積極的に攻めて動いていきましたね」
羽生「もうこれ以上待ってても良い形にはならないということで踏み込んで攻めて行ってますね」
「(後手は)攻められてますけど、手番がまわってくればはっきり良くなりますから、だからここさえ凌げばっていう気持ちで指せると言う事はあると思います」
(44手目)△9四歩
羽生「なるほどこれはー9四角打たれる筋をかなり警戒してるってことですね」
(45手目)▲9二歩
羽生「あーそうですねー(▲9四同香とは)当然取ってはくれないんで、これで(△9二同香に)▲5六角と打つんでしょうね」
「このラインがかなり受け辛いです」
大胆不敵な受け
(47手目)▲6五角
羽生「なるほどこれは△83角と合わせた時に、▲8四銀なんですね。で(△6五角と)取る一手じゃないですか。で▲6五同桂。銀取りと8三歩or8三角の両狙い」
中村「かなり忙しいですね」
羽生「▲5六角だと取った時に同歩になるので、後手は8三歩と受ける事が出来るんですけど。うーん」
(48手目)△7四角
羽生「ひゃあーすごい所に打ちますね」銀の前に角打ち!
羽生「これはでもあんまり読んでなかったんじゃないですか(笑)」羽生先生笑ってます
中村「銀で取れる所ですけども」
羽生「この受けは仕方ないかなと言うことだと思います。一目ちょっと辛いかなって気がしますけど。ただここ(▲9五香)取る楽しみはありますけど。7四角は意表つかれたんじゃないですかね」
「なんか里見さんらしい大胆な手が出た気がしますね」
後手はけっこう危ないらしい?先手の攻める手がたくさんある局面とのこと
先手の攻めが繋がるか
(51手目)▲7五歩
羽生「こういうのが将棋の本筋なんですよね。歩が効く様に攻めて行くんですよ」
後手がこの7五歩を取ると、先手に香取り+馬を作られるので取れない
羽生「流石という一手だと思います」
後手はしばらく受ける展開に。先手の攻めが繋がるかどうか
高崎六段は悩ましそう
羽生「なんて言うんでしょうかね?(先手は)上手くいったと思ってたんだけど、進んでみたら意外とそうでもなかったなって言う、そういう感じですよね。
仕掛け・・▲6五角に△7五角合わせた瞬間は上手くいったと思ったはずなんですよ。だけどこの局面まで来てみると、なんかアレ?って言う・・はい。」
(68手目)△9三同銀
羽生「なんかすごい大胆な受けが続いてますけど上手くいってる気がします。(先手は)忙しいんですよね、とにかくなんか手を作んなきゃいけない」
先手は考慮時間を使い切り、30秒将棋に
後手良しに
(76手目)△8四歩
中村「受けもすごいしっかり」
羽生「そうですねーこれは里見さん会心の指し回しなんじゃないですか」
羽生先生が感心されてました
(78手目)△7五銀打ち
羽生「なんかこれは完封しに行ってますか」
中村「より手厚く」
羽生「へー何もさせません」
「ちょっとでもこれ逆に1歩あったら▲92歩で先手逆に必勝になるかもしれないから、どっかに1歩落ちてたらまずいんですが」
それでも形勢は後手が良いとのこと
羽生「1回考慮時間使いますかね?あっでも指しますね(笑)」
(82手目)△7八角
中村「決断良く。まだ考慮時間残してるんですけど」
羽生「(笑)そんなに急がなくても大丈夫だと思うんですけど」
里見さんは前回時間に追われたからか、かなり気をつけてますね(°▽°)
(99手目)▲8九飛車
中村「馬に当てて逃げましたけれども」
羽生「これはもう一回飛車を追うかあるいは7六馬と引いて狙うかどっちかですね」
(100手目)△9八馬
羽生「いやなんかこれ7六馬も厳しいんですけど、より厳しく行ってるっていう感じが(笑)いや(飛車の逃げ場所が)4九でも3九でも、それから7六馬引いた方が飛車の当たりになりやすいので」
中村「細かい利かしが厳しいんですね」
ここで先手が投了
100手まで里見女流の勝利🎊
先手の攻めを受け切りました(^^)/
投了図以下
中村「まだすぐ詰むような形ではないんですけれども」
羽生「そうですね。飛車逃げる、▲3九飛車くらいだと思うんですけど、次△7六馬と引かれてですね、△5八と金と来るような形になると受けがなくなりますし、あとこちら(後手玉)がまだ全然寄らないっていうか手数が掛かるので投了もやむを得ないかなと思いますね」
この1局を振り返って
羽生「そうですね。まあ今日の1局はもう里見さんが上手く指したって言うことに尽きると思いますね」
「高崎さんも細かく手を繋いで行って、良さそうな局面だったと思うんですけど、その後にですね、非常に大胆不敵な受けを連発されて、なんか少しずつ攻めが細くなってしまって、なんか気が付いたらけっこう差がついてたという所で・・。
高崎さんにとっては残念な1局と言うか、それにも増してですね、里見さんの指し回しが非常に素晴らしかったです」
感想戦
羽生先生が感想戦をリードしていましたね
羽生先生の指導対局を受ける里見さんみたいになってました笑
里見さんはとっても嬉しそうです😊
里見「ぶつけていこうかなと思って」
羽生「え64銀?!へー」
里見「おかしいですか?」
羽生「いやいやいやはぁー」
里見「おかしいですか?」
羽生「いやいやいや」
里見「ぶつけるとちょっとおかしいか・・」
羽生「すごい手順ですね」
「笑」
里見「危ないですか?」
羽生「いやいやでも危ない、ま、ずっと危ないかもしれないですね(笑)危ないのには変わりはない」
「笑」
羽生先生の話がいっぱい聞けておもしろかったですね
あと羽生先生は高崎六段を高く評価されていましたね
高崎六段は羽生先生と同じ八王子将棋クラブにずっと通っていたそう
真摯に将棋に取り組んでいて前々期のC級1組で9勝1敗だった、実力は非常に高い評価を得ていると話されてましたね
この対局の詳しい解説は将棋講座テキスト9月号に載るそうです
そしてもう次の放送日が決まっています!
解説 千田七段
棋譜↓