びぼうろく

読んだもの見たもののメモ

ペストの記憶 100分で名著

ダニエル・デフォー「ペストの記憶」

番組では1665年のペストの流行と現代の新型コロナについて語られていました

時代は違っても生活の困りごとや人間心理はとても似ていました

 

「ペストの記憶」翻訳者 武田将明さん 

 

「何か結論というものを求めようとしてしまうと、さっき出てきたような(ペストに効くという)怪しい薬に簡単に引っ掛かるようなことになるかもしれないし。もやもやをすっきり解消しようとすることも実は危険というか、その方が危険なんじゃないかなと思ったりもしますけどね。

適切に恐れるということはどういうことなのか。適切っていうのが何かを見極めるのももちろん正解はないんですけど。でも恐れている自分を恐れないというのかな、それはひとつ必要ではないかという気はします。」

 

「自分の命を守るのを第一に考えるのか、それとも生計をたてることを重視するのか。とても難しい選択が(ペストの記憶に)描かれていた。同じような難しい選択は、現在私たちも常に直面しているんじゃないかなというふうに思います。」

 


帽子を盗むご婦人たちについて

 

武田:ふだんは割と上品なご婦人の人たちが、日常がこう壊れてしまうと上品な姿のまま自然と犯罪を犯してしまう。善悪の区別っていうものがよくわかんなくなってきちゃうんですよね。


伊集院:理論として出来上がった善悪に僕らは割と従ってるじゃないですか。一度こうなって(まっさらになって)本能的な善悪に従わなきゃならなくなっちゃうっていうのが、多分こういうことが起こるからくりなのかしら。

 

 


武田:パンデミックという状況の中で、正解が見えないそして出口も見えない中でどうすればいいんですかっていうことですよね。

その中で出てくる通常の善悪では考えられないようなことを前にして、どういうふうに自分は振る舞えばいいのだろうとか、やっぱり読者が自分で考えていくしかないということなんだと思うんですよね。
逆に何か正解というものを前提にして行動しちゃうとスケープゴートみたいなものを作ってその人たちを攻撃することでスッとして不安が解消したみたいになる傾向というのもあると思うんですよね。

 

 

 

  

デフォー『ペストの記憶』 2020年9月 (NHK100分de名著)

デフォー『ペストの記憶』 2020年9月 (NHK100分de名著)

  • 作者:武田 将明
  • 発売日: 2020/08/25
  • メディア: ムック